十八歳の花嫁
第7話 情事
第7話 情事
赤いビロードの指輪ケースを取り出し、豪華なエンゲージリングを左手の薬指にはめてみる。
愛実は小さくため息をつき、すぐにケースに戻した。
愛実が結婚を承諾して、昨夜の藤臣は本当に嬉しそうだった。今朝も上機嫌で仕事に向かったくらいだ。
だが時折、苦しそうな表情をしている。
きっと、愛実のような子供と結婚する羽目になったことがつらいのだろう。
それを考え、今度は深くため息をつく愛実だった。
まさか藤臣の苦悩が、愛実に対する性的欲求など彼女にわかるはずもなく……。
午前中に自習を終えた愛実は、昼食の後、することもなく暇を持て余していた。
館内をブラブラしてもいいが、ひとりは退屈である。やはり部屋で藤臣の帰りを待っていよう、愛実がそう思ったときだった。
いきなり鳴り始めた電話に、彼女はビクッとした。
藤臣ではない。
彼なら携帯にかけてくるだろう。そこまで考えて、愛実はフロントかもしれない、と思った。ホテル内で何かあり、その連絡事項なら……。
愛実は少し迷って、受話器を上げた。
『はい』
『……』
愛実の返事が聞こえなかったのだろうか? 相手は無言だ。
『あの……フロントですか?』
そう付け足した愛実の耳に、信じられない声が響いた。
『……驚いた。まさか、本当に君がそこにいたなんて』
それは、美馬和威の声だった。
赤いビロードの指輪ケースを取り出し、豪華なエンゲージリングを左手の薬指にはめてみる。
愛実は小さくため息をつき、すぐにケースに戻した。
愛実が結婚を承諾して、昨夜の藤臣は本当に嬉しそうだった。今朝も上機嫌で仕事に向かったくらいだ。
だが時折、苦しそうな表情をしている。
きっと、愛実のような子供と結婚する羽目になったことがつらいのだろう。
それを考え、今度は深くため息をつく愛実だった。
まさか藤臣の苦悩が、愛実に対する性的欲求など彼女にわかるはずもなく……。
午前中に自習を終えた愛実は、昼食の後、することもなく暇を持て余していた。
館内をブラブラしてもいいが、ひとりは退屈である。やはり部屋で藤臣の帰りを待っていよう、愛実がそう思ったときだった。
いきなり鳴り始めた電話に、彼女はビクッとした。
藤臣ではない。
彼なら携帯にかけてくるだろう。そこまで考えて、愛実はフロントかもしれない、と思った。ホテル内で何かあり、その連絡事項なら……。
愛実は少し迷って、受話器を上げた。
『はい』
『……』
愛実の返事が聞こえなかったのだろうか? 相手は無言だ。
『あの……フロントですか?』
そう付け足した愛実の耳に、信じられない声が響いた。
『……驚いた。まさか、本当に君がそこにいたなんて』
それは、美馬和威の声だった。