十八歳の花嫁
「何が楽しいんだい?」
よくわからないまま、藤臣も緊張が解けたような笑顔になる。愛実が笑うので、といった感じだ。
「だって……このまま締めちゃったりして」
「浮気の罰に?」
「浮気したんですか?」
「いや……してないよ。もちろん」
慌てて否定する藤臣の表情がひどく幼く見え、愛実はもう一度ニッコリと微笑んだ。
愛実のことは自分がホテルまで送ると言う藤臣に、本社から呼び出しの電話がかかる。
「すまないが、やはり和威に送ってもらってくれ」
彼は申し訳なさそうに口にした。
「あの、タクシーならひとりでも平気ですけど……」
「ダメだ。どこに危険があるかわからない。この和威は、女性には誠実な男だ。君の嫌がることはしない、と信用している。――和威、彼女を送り届けたら本社に来てくれ。話がある」
ここまで言われては和威の返事はひとつであろう。
「……わかりました」
愛実は来たときと同様、和威に連れられ都心のホテル後にしたのだった。