十八歳の花嫁
「随分、酒臭いな」
ドアが開くなり、藤臣は我が物顔で部屋に入って行く。
久美子は慌ててスリッパを差し出した。
「眠れなくて……少し飲んでたの」
濡れた髪をかき上げながら、久美子は答えた。
1LDKで特に変わった間取りでもない。案内の必要もなく、藤臣はつかつかと奥の部屋に入って行った。
彼は上着のボタンだけ外して、カウチソファに座り込む。
その瞬間、室内の空気がふわっと広がり、さっき嗅いだばかりのコロンの匂いが彼の鼻腔をくすぐった。
(まあ、こんなもんだな……)
片笑みを浮かべ、藤臣は尋ねる。
「オートロックを開けるのに、あんなに時間がかかるものなのか?」
「シャワーを浴びてたのよ。あなたが来るって言うから」
甘い声で言いながら、久美子はナイトガウンを脱ぎ捨てた。
彼女は黒いシースルーのベビードールを着ている。ショーツも黒のTバックで、生地は必要最小限といったものだ。
「ねーえ、藤臣さん、どうしたの? 部屋には来ないって言ってたくせにぃ。そんなにあたしが欲しかった?」
久美子は藤臣の隣ではなく、膝の上に乗りかかった。
しなを作りながら、彼女は両腕を藤臣の首に巻きつかせる。
こういう女の仕草に満足していたはずだった……これまでは。
愛実を見るだけで欲情し、頭の中はセックスでいっぱいになる。
まるでやりたい盛りの中学生だ。おまけに下半身の反応も中学生男子と大差ない。
それが、久美子の誘惑には沈黙したままだ。