十八歳の花嫁

第4話 記事

第4話 記事





今、愛実がいるのはホテルの美容室だ。
パーティ直前にへアメイクをしてもらっていた。

愛実より遥かに年上の美容師たちは、当然主役である彼女に気を使い、完全にお姫様扱いである。
その反面、これまで藤臣が噂になった女性たちとまるで違うので、色々気になるのは確からしい。


「今朝の新聞を読ませていただきました。まあ、本当にお幸せそうで……お似合いですわ」


美容師は数人いて、皆が同じようにうなずいている。
全員が綺麗に眉を描き、鮮やかな口紅を塗り……当たり前だが、仕事をしている大人の女性ばかりだ。
愛実には気後れすることこの上ない。

それだけでなく、愛実自身が彼とは歳が離れていて、不釣合いだと感じているのに。
お世辞とわかる分だけ胸が切なかった。


「ありがとうございます。でも、十二歳も離れていますから。わたしはこういった席に出るのも初めてで、何もわからないんです」

「あら、年齢なんて関係ありませんわ。こちらのパーティドレスも美馬様がお選びになられたとか。わたくしどもも、お嬢様のご希望に添って最善の仕事をするように、と美馬様から申し付かっておりますし……。こんなに愛されておいでで、羨ましい限りですわ」


愛実は髪を梳く美容師の言葉に驚いた。
まさか、藤臣がそんな気遣いを示してくれたなんて。


「それは、藤臣さんから直接ですか?」


パッと明るくなる愛実の声とは逆に、美容師のトーンは下がった。


「あ、いえ……直接ではなかったような。秘書の男性からお電話いただいて。あ、でも、美馬様のご命令とおっしゃっておられたので」

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