十八歳の花嫁
第2話 告白
第2話 告白
「ごめんなさい。わたし、何も知らなくて……嫌なことを思い出せてしまって。本当にすみません」
愛実の謝罪に藤臣は驚いた。
「いや、君が謝ることじゃない。施設でのことは、それほど嫌な思い出と言うわけじゃないさ」
あの女性職員との経験はともかく、母や妹の死を乗り越え、それなりに未来に夢を描いていた時期だ。
藤臣にとって最悪なのは、その後だった。
藤臣は愛実を手招きし、自分の膝近くに呼び寄せた。
少し恥ずかしそうに、彼の前に立つ愛実を、思わず、調子に乗って膝の上に抱き上げてしまった。
「きゃ!」
「弟くんたちは寝たんだろう?」
「それは……あの藤臣さん」
「ん? なんだい?」
愛実の髪の匂いが好きだ。
ただのシャンプーだと聞いても、これまで嗅いだどんな香りより扇情的で彼の心を高ぶらせる。
目を閉じ、愛実の髪に顔を埋めていると、そのまま離れられなくなりそうだ。
「あの……無理に、我慢してもらってるんでしょうか? ここで暮らせるのは藤臣さんのおかげなのに。わたし、我がまま言ってますか?」
藤臣はその言葉に顔を上げ、まじまじと愛実をみつめた。
(どういう意味なんだ? まさか――)
「わたし……愛してるって言われて、嬉しくて。あなたに甘えてしまってるのかもしれない。わたし、藤臣さんに嫌われたくないんです。だから……あの」
次の言葉を藤臣は指先で制した。
人差し指と中指で唇を閉じさせ、黙らせる。
「ごめんなさい。わたし、何も知らなくて……嫌なことを思い出せてしまって。本当にすみません」
愛実の謝罪に藤臣は驚いた。
「いや、君が謝ることじゃない。施設でのことは、それほど嫌な思い出と言うわけじゃないさ」
あの女性職員との経験はともかく、母や妹の死を乗り越え、それなりに未来に夢を描いていた時期だ。
藤臣にとって最悪なのは、その後だった。
藤臣は愛実を手招きし、自分の膝近くに呼び寄せた。
少し恥ずかしそうに、彼の前に立つ愛実を、思わず、調子に乗って膝の上に抱き上げてしまった。
「きゃ!」
「弟くんたちは寝たんだろう?」
「それは……あの藤臣さん」
「ん? なんだい?」
愛実の髪の匂いが好きだ。
ただのシャンプーだと聞いても、これまで嗅いだどんな香りより扇情的で彼の心を高ぶらせる。
目を閉じ、愛実の髪に顔を埋めていると、そのまま離れられなくなりそうだ。
「あの……無理に、我慢してもらってるんでしょうか? ここで暮らせるのは藤臣さんのおかげなのに。わたし、我がまま言ってますか?」
藤臣はその言葉に顔を上げ、まじまじと愛実をみつめた。
(どういう意味なんだ? まさか――)
「わたし……愛してるって言われて、嬉しくて。あなたに甘えてしまってるのかもしれない。わたし、藤臣さんに嫌われたくないんです。だから……あの」
次の言葉を藤臣は指先で制した。
人差し指と中指で唇を閉じさせ、黙らせる。