十八歳の花嫁
第7話 挑発
第7話 挑発
「お料理は好きなんで……あ、でも凝ったものはできなくて。カレーとかハンバーグなんですけど」
愛実がいつも家族にご飯を作っていることを話すと、弘明と佐和子はにこにこと聞いてくれた。
久しぶりに顔を合わせた大川暁も同様で、「それは羨ましい」などと言って藤臣をからかっている。
問題は……。
「まさか、うちでそんな物を作る気ではないでしょうね? 我が家にはちゃんとコックがいるのよ。あなたは社長夫人になるんですからね。自分でキッチンに立つような、そんなみっともない真似は許しませんよ!」
そう叫んだのは佐和子の姉、加奈子だった。
この日は珍しく、夫の信二も同席していた。
「まあまあ、それはゆっくり覚えていくことだろう。あまりうるさく言うものじゃないよ」
信二は一見すると温厚な紳士だ。年齢相応に下腹も出ており、どっしりと落ちついた印象である。
だが、ふとした瞬間に見せる愛実の全身を舐めるようなまなざし……。
それを感じるたび、背筋がゾクッとする。爬虫類を思わせる視線に、どれほど頑張っても彼女の笑顔は引き攣った。
「そんな甘いこと言ってるから、繋ぎ社長なんて情けないことになるんですよ!」
株主総会で藤臣の次期本社社長就任が議決されたことを受け、加奈子は現社長の夫に不満をぶつけた。
「お料理は好きなんで……あ、でも凝ったものはできなくて。カレーとかハンバーグなんですけど」
愛実がいつも家族にご飯を作っていることを話すと、弘明と佐和子はにこにこと聞いてくれた。
久しぶりに顔を合わせた大川暁も同様で、「それは羨ましい」などと言って藤臣をからかっている。
問題は……。
「まさか、うちでそんな物を作る気ではないでしょうね? 我が家にはちゃんとコックがいるのよ。あなたは社長夫人になるんですからね。自分でキッチンに立つような、そんなみっともない真似は許しませんよ!」
そう叫んだのは佐和子の姉、加奈子だった。
この日は珍しく、夫の信二も同席していた。
「まあまあ、それはゆっくり覚えていくことだろう。あまりうるさく言うものじゃないよ」
信二は一見すると温厚な紳士だ。年齢相応に下腹も出ており、どっしりと落ちついた印象である。
だが、ふとした瞬間に見せる愛実の全身を舐めるようなまなざし……。
それを感じるたび、背筋がゾクッとする。爬虫類を思わせる視線に、どれほど頑張っても彼女の笑顔は引き攣った。
「そんな甘いこと言ってるから、繋ぎ社長なんて情けないことになるんですよ!」
株主総会で藤臣の次期本社社長就任が議決されたことを受け、加奈子は現社長の夫に不満をぶつけた。