十八歳の花嫁
その後、長女の小学校入学に合わせてランドセルと祝い金が届いた。
差出人は不明だったが、恭子の心当たりは藤臣だけだった。
娘の絵美は家を出た父親が後悔して、自分のために贈ってくれたのだと無邪気に喜んでいたが……。
石川は若い女と暮らしており、子供たちの養育費すら支払いを拒んでいた。
藤臣は傲岸不遜でどうしようもない男性だと思っていたのに。
それがもし、間違いであったら?
そして恭子から相談を受けた瀬崎も、すぐに彼女を信用したわけではなく……。
「DNA鑑定を受けるように言われて、それで」
「受けたのか? 瀬崎、俺の了解も取らず、そんな真似をしたのかっ?」
藤臣はにわかに信じられなかった。
藤臣を蔑ろにして、そこまで勝手な判断で動く男だとは思っていなかったからだ。
「――申し訳ありません」
余計な言い訳は一切せず、瀬崎はただ謝罪を口にした。
藤臣のデータは一志と鑑定したときのものが保管してある。同じ会社に頼めば、検査は容易なはずだ。
「それで……結果は出たのか?」
「はい。社長と東絵美さんとは、九十九パーセント以上の確率で親子関係にある、と」
それは今の藤臣にとって、死刑宣告にも等しい言葉だった。