十八歳の花嫁
第5話 決断
第5話 決断
――私は……君を愛してる
――君の願いなら、なんでも叶えてやる
――君とちゃんと家庭を築くつもりだという証に
長く、甘い夢を見ていた気がする。
夜はもう遅かった。
愛実は美馬家の車で送ってもらい、家に着いたのは夜の十一時を回っていた。
受験生の尚樹はともかく、中一の真美は寝るように叱り、逆にぐっすり眠った末の弟・慎也の部屋も見て回る。
母は今夜も帰らないと連絡があったらしい。
母がどこで何をしているのか知らない。
だが、今の愛実にはどうでもいいことに思える。
(ダメよ。こんな気持ちになったらダメ。わたしが諦めたら、本当におしまいなのだから……)
自らを励ますものの、どうにも愛実の中に力が湧いて来ない。
真っ暗な中、リビングのソファに、ただボンヤリと座り込んだ。
無為な時間が過ぎ、突然、玄関の呼び鈴が鳴り響いた。
愛実がハッとして時計を見ると、すでに日付が変わっている。こんな遅くに人が訪ねて来るなど、かつて借金取りに追われていた日々以来だった。
誰かわからないまでも、応対しないわけにはいかない。
来訪者はまさに借金取りよろしく、忙しなく呼び鈴を鳴らし続けていた。
「今を何時だと思われますか? 出直してください。お引取りいただけないなら、警察に連絡します!」
玄関の扉越しに愛実は毅然と答える。
「開けてくれないか? 婚約者の来訪だ。いや……元婚約者と言うべきかな?」
それは藤臣の声だった。
――私は……君を愛してる
――君の願いなら、なんでも叶えてやる
――君とちゃんと家庭を築くつもりだという証に
長く、甘い夢を見ていた気がする。
夜はもう遅かった。
愛実は美馬家の車で送ってもらい、家に着いたのは夜の十一時を回っていた。
受験生の尚樹はともかく、中一の真美は寝るように叱り、逆にぐっすり眠った末の弟・慎也の部屋も見て回る。
母は今夜も帰らないと連絡があったらしい。
母がどこで何をしているのか知らない。
だが、今の愛実にはどうでもいいことに思える。
(ダメよ。こんな気持ちになったらダメ。わたしが諦めたら、本当におしまいなのだから……)
自らを励ますものの、どうにも愛実の中に力が湧いて来ない。
真っ暗な中、リビングのソファに、ただボンヤリと座り込んだ。
無為な時間が過ぎ、突然、玄関の呼び鈴が鳴り響いた。
愛実がハッとして時計を見ると、すでに日付が変わっている。こんな遅くに人が訪ねて来るなど、かつて借金取りに追われていた日々以来だった。
誰かわからないまでも、応対しないわけにはいかない。
来訪者はまさに借金取りよろしく、忙しなく呼び鈴を鳴らし続けていた。
「今を何時だと思われますか? 出直してください。お引取りいただけないなら、警察に連絡します!」
玄関の扉越しに愛実は毅然と答える。
「開けてくれないか? 婚約者の来訪だ。いや……元婚約者と言うべきかな?」
それは藤臣の声だった。