十八歳の花嫁
尚樹も泣いていた。
奥歯を噛みしめ、必死で嗚咽を堪えている。
真美は愛実に抱きつくと「ごめんね……お姉ちゃん」涙声でそう呟いた。
慎也も、事情がわからないまま、青褪めた顔で今にも泣き出しそうだ。
「僕が……僕と姉さんの歳が反対だったら……」
尚樹はそう言ったまま、今度は唇を噛み締める。
「ごめん……ごめんね。結婚式だからちょっとナーバスなってるの。大きな声出しちゃってごめんね」
愛実はそう言って尚樹の腕を引き寄せた。
何もできない、年端もいかない子供なのは、彼らのせいではない。長女の愛実が頑張るのは当然のこと。
そして、ここに至るまで、様々な決断をしたのは彼女自身だった。
「和威さんも優しい人だから。きっと、皆も好きになれると思うわ」
「でも、お姉ちゃんが好きなのは美馬さんでしょう? 美馬さんはどうするの?」
「藤臣さんは娘さんを守らないといけないの。まだ、慎也と変わらない歳だし……お母さんと弟さんと三人でとても大変そうだから」
それでも真美は不安そうな顔で、
「美馬さんは娘さんのお母さんと結婚するの? お姉ちゃんのことはどうでもよくなったってこと?」
「違うわ。藤臣さんが誰と結婚するかわからないけど……姉さんがどうでもよくなったわけじゃない。親が子供を守るのは当然だもの。子供のことを一番に考える彼が好きよ」
「だったら待つべきだ!」
そう叫んだのは尚樹だった。