十八歳の花嫁
第13話 反抗
第13話 反抗
結婚式はT国ホテルのチャペルで行われる予定だった。
正午に挙式、十三時から披露宴の予定が、花婿の変更でドタバタになってしまい……。挙式の準備が整ったのが、十六時近くになってしまう。
弥生が言っていたように、簡単に右から左に移せるものではないのだ、と愛実はため息をついた。
いや、正確に言えば弥生は命じるだけだ。
彼女にとっては簡単なことに違いない。
そんな中、前日に確認したはずのウェディングドレスに問題が起こったのである。
愛実が花嫁控え室に入り、身支度を整えようとしたとき、それは発覚した。用意されていたのは、藤臣が選んだドレスだった。
(和威さんと結婚するのに、藤臣さんの選んだドレスなんて……)
担当者はほんの二時間前、ドレスを元に戻して欲しいと美馬家の人間から連絡が入ったという。
再度変更となれば、また二時間ほど待っていただくことになる、と。
もうすでに何時間もお客様を待たせている。
これ以上、時間を取ることはできなかった。
式の参列者はだいぶ少なくなったという。
理由はわからないが、もうどうでもいい、と思う自分がいることに愛実は何とも思わなくなっていた。
花嫁付添い人と言われる担当者が、愛実をチャペルの前まで案内してくれた。
普段なら笑顔で言えるはずの礼も口に出て来ない。
それは花嫁の緊張とは少し違うものだった。
和威はすでに扉の前で立っている。だがその顔は、とても人生最良の日を迎えた花婿のものとは思えず……。
そのとき、柱の鏡に映る花嫁の顔に愛実はゾッとした。
まるで絶望を映したような、和威と同じ顔で……。
(どうしてこのドレスなの? どうして今、これを着なくちゃならないの?)
愛実は浮かび上がる涙を必死で堪える。
自分で決めたことだ。他に手段はなかったのだから。
そう思って落ちつこうとした。
だが――。
結婚式はT国ホテルのチャペルで行われる予定だった。
正午に挙式、十三時から披露宴の予定が、花婿の変更でドタバタになってしまい……。挙式の準備が整ったのが、十六時近くになってしまう。
弥生が言っていたように、簡単に右から左に移せるものではないのだ、と愛実はため息をついた。
いや、正確に言えば弥生は命じるだけだ。
彼女にとっては簡単なことに違いない。
そんな中、前日に確認したはずのウェディングドレスに問題が起こったのである。
愛実が花嫁控え室に入り、身支度を整えようとしたとき、それは発覚した。用意されていたのは、藤臣が選んだドレスだった。
(和威さんと結婚するのに、藤臣さんの選んだドレスなんて……)
担当者はほんの二時間前、ドレスを元に戻して欲しいと美馬家の人間から連絡が入ったという。
再度変更となれば、また二時間ほど待っていただくことになる、と。
もうすでに何時間もお客様を待たせている。
これ以上、時間を取ることはできなかった。
式の参列者はだいぶ少なくなったという。
理由はわからないが、もうどうでもいい、と思う自分がいることに愛実は何とも思わなくなっていた。
花嫁付添い人と言われる担当者が、愛実をチャペルの前まで案内してくれた。
普段なら笑顔で言えるはずの礼も口に出て来ない。
それは花嫁の緊張とは少し違うものだった。
和威はすでに扉の前で立っている。だがその顔は、とても人生最良の日を迎えた花婿のものとは思えず……。
そのとき、柱の鏡に映る花嫁の顔に愛実はゾッとした。
まるで絶望を映したような、和威と同じ顔で……。
(どうしてこのドレスなの? どうして今、これを着なくちゃならないの?)
愛実は浮かび上がる涙を必死で堪える。
自分で決めたことだ。他に手段はなかったのだから。
そう思って落ちつこうとした。
だが――。