十八歳の花嫁
「……わたしは何とか……藤臣さんは六十年後も傍にいてくれますか?」
「……」
九十はさすがに厳しいかもしれない。
「ああ、背後霊になって君に近づく男を呪い殺してやる」
彼なりに真剣だったが、愛実はクスクスと笑い始めた。
「いやだ、藤臣さん。どうせなら、守護霊になって守ってください。でも……あなたが死んだら、わたしもなるべく早く傍に行きますね」
「来なくていい。六十年が百年でも、俺は君から離れない。――愛してる。今夜、俺の花嫁になってくれ」
純白のドレスがするりと愛実の足から外れた。
白いブライダルインナーが闇の中に浮かぶ。シルクのショーツとガーターストッキングに藤臣の目は釘付けになりそうだ。
背中にびっしりと留められたホックを一個一個外しながら、
「一日中、この格好だったのか? 苦しかっただろう」
ガーターベルトも一体型になったスリーインワンというタイプだ。
男の目にはまるで拘束服のように見える。式の間だけでなく、こんな時間まで着ていたとなると、相当きつかったに違いない。
「いえ、最初のサイズより痩せたので、それほど気になりませんでした」
なんでもないことのように愛実は言う。
だが、細い腰がいっそう華奢になったようだ。
「二度と痩せるほど悲しませたりはしない」
「……はい……」