十八歳の花嫁
「つらくなんてありません。大好きなあなたの妻になれるんですから」
「一ヶ月後には遠くに行ってしまう夫でも?」
「高校を卒業したら追いかけて行きます。弥生さまの面倒は佐和子さんが看てくださると言うし、春には尚樹も高校生だから」
寂しくないと言えば嘘になる。
だが、住み慣れた場所を離れ、ひとりきりになるのは藤臣のほうなのだ。
そう考えた瞬間、愛実の胸に不安がよぎった。
「寂しさを紛らわすために、浮気なんて……しませんよね?」
藤臣はぎこちない笑みを浮かべ、
「こんな可愛い奥さんがいるのに、どんな女に目が行くというんだ」
愛実を抱き寄せながら頬に口づけた。
「愛実、今夜は携帯の電源はオフだ。ついでに電話のプラグも抜いておこう。何があっても途中で止めないと約束してくれ」
真面目に言う藤臣が可笑しくて堪らない。
愛実は満面の笑みで「はい」と答えながら、ようやく手に入れた“愛”をしっかりと握り締めた。
~fin~