十八歳の花嫁
天蓋から下がったレースのカーテンを藤臣は後ろ手で引っ張った。
留め具がはずれ、ふわっとカーテンが下りてくる。
ベッドの上は一瞬で外と切り離され、ふたりきりの世界になった。
実に三ヶ月ぶりのセックスだ。
いや、愛しい思いをこめて、相手をいたわりたいと思って抱くのは初めての経験とも言える。
それを考えると、藤臣の中に緊張が走った。
「愛実……俺を選んで、後悔してないか?」
愛実の少し火照った頬を撫でながら尋ねた。
「そんな、後悔なんてしていませんし、一生しません」
「愛してる」
柔らかな唇をなぞるように、そっとくちづける。
「あ、あの……」
「わかってる。電気だろう?」
藤臣はベッドのヘッド部分を手で探り、電灯のスイッチを押した。
室内は一瞬で暗くなり、代わりにアンティークのフロアランプが灯る。
オレンジ色の優しい明かりがレースのカーテンに反射し、ふたりの世界をふんわりと包み込んだ。
「……キレイ……光の国みたい」
「ああ……君はお姫さまだ」
「じゃあ、藤臣さんは王子さまですね」
「歳の食った不良王子だけど……」
「そんなことないわ! 世界中でいちばんステキな、わたしだけの王子さまだもの」
愛実は身体を起こし、藤臣の首に手を回して抱きついた。
藤臣はバスローブの紐をほどき、脱ぎ捨てると愛実の腰に手を回す。
「可愛いことばかり言って……俺を狂わすイケナイお姫さまだ」