十八歳の花嫁
Tバックのショーツはサイドのリボンをほどくだけで簡単にはずれた。
(まったく……なんてものを愛実に着せるんだ。自分は着たこともないくせに……)
そこまで考え、ふと思いつく。
そういえば、由佳をはじめ今まで抱いた女の下着など、気にしたこともなかった。なんでも同じだ、どうせ脱がせるのだから、そう思っていた気がする。
だが愛実は違う。
下着どころか、いつもの白いソックスではなく、ストッキングをはいているだけで気持ちが高ぶる。
そして、愛実の裸身に藤臣は吸い寄せられるように口づけた。
「あ……あん……やぁん」
熱を帯びた声がたまに聞こえるだけで、藤臣の神経は焼き切れそうになる。
しだいに、その場所に充分な潤いを感じ始めた。
藤臣は分身をあてがい、ゆっくりと沈めていく。だが、愛実の身体が強張るたびに侵入をストップさせ……。
やがて、完全にひとつになったとき――初めて味わう喜びに、彼は胸が熱くなり、涙が込み上げた。
誰を抱いても孤独だった。
冷ややかな心はどんなセックスでも温めることはできなくて……。
結局、身体の快楽を求めるだけになったのだ。
最初に快楽だけを教え込まれたせいかもしれない。
だが、いい大人になってからも、それを選び続けたのは藤臣自身だった。
「愛実……痛くないか? つらかったらすぐにやめるから」
優しくキスして愛実の顔を覗き込む。
相手を気遣うことで、自分の心が癒されるとは、彼にとっては目の醒めるような発見だった。
すると、彼女はいつもどおり、藤臣を見て笑ったのだ。
「あなたの、奥さんになれて嬉しい……」
その声は少し苦しそうで、それでいて、喜びに満ち溢れていた。
「俺も……嬉しくて堪らない。生まれてきてよかった。どんな思惑で与えられた命でも……今は、両親に感謝する」
愛実の中は彼のために作られたような場所だった。
彷徨い続けた果てに、ようやく取り戻した半身――ふたりはその夜、より深い愛情で結ばれたのだった。