十八歳の花嫁
☆ ☆ ☆
「このベッドは部屋に運ぼう。フロアランプも……いいだろう?」
愛実は初めての行為にぐったりとして彼にもたれかかっていた。
藤臣はとっても優しかった。
信じられない場所にまでキスされて、恥ずかしさと気持ちよさに心臓が口から飛び出してしまいそうな経験をした。
ひとつになってからも性急には動かず、ゆっくり、ゆっくり、愛実が高まるのを待ってくれた。
そして終わってからも、ずっと愛実を抱きしめて髪を撫でてくれる。
『可愛いよ』
『素晴らしい』
なんて、何度言われたか数えきれないくらいだ。
「大きいから、部屋に入るでしょうか?」
「大丈夫だよ。どのみち、母屋は無駄に広いんだから」
「でも……このベッドで一緒に眠れるのも来月いっぱいなんですよね……」
愛実は急に寂しくなり、涙が込み上げてきて、声が震えてしまう。
半年くらい平気だ、と本当に思っていたのだ。
でも、こうして身体を重ねたあとは、切なくて身を切られそうである。この大きなベッドで半年もひとりだと思うと、それが永遠の長さに感じた。
「愛実? 必ず時間を作って、毎月戻ってくる。それに、冬休みは北海道まで来るといい。弟たちが心配なら一緒に。電話は毎日するよ……ほかに、私にできることならなんでも」
「ううん。ごめんなさい。藤臣さんの温かさを知って、急にひとりが寂しくなったの。でも、大丈夫だから……」
藤臣は心配そうに見ながら、
「すまない。本当に、初っ端から、苦労ばかりかけて」
「謝らないで。でも、ひとつだけ約束を守ってね。浮気だけは絶対にしないって」
すると、藤臣は照れくさそうに笑った。