十八歳の花嫁
第5話 対面
第5話 対面
食堂は天井が高く、大広間といった雰囲気だ。
テーブルは窓に近い、中庭がよく見える位置にセッティングされていた。
中庭は和風庭園の造りで、幻想的にライトアップされている。ほんの一メートル程度の高さではあるが、飛沫を上げて落ちる滝に愛実は見惚れてしまった。
長い食卓テーブルの上座に弥生が座る。
右手に信一郎、宏志、和威、そして美馬が着席した。左手には長倉弁護士、真ん中に愛実、末席に大川暁が座った。
「この屋敷にはわたくしを除いて、三家族八人が住んでおります。まずは孫たちの四人に揃ってもらいました。ひとりずつ……長倉、紹介してあげてくださいな」
弥生が口火を切り、長倉弁護士が「はい」とうなずいた。
「まずは手前から、弥生さまのご長女・加奈子(かなこ)さまのご長男、信一郎さまです。今年で三十三歳になられます」
「やあ、さっきはどうも。サーモンピンクのドレスが可愛いね、藤臣の趣味だとしたら、ちょっと妬けるなぁ。僕は美馬エレクトロニックの社長なんだ。派手さ加減じゃ東部デパートには負けるけど、企業実績じゃそうは劣らないよ。コンピュータのことならなんでも相談に乗るからね。ああ、そうだ、愛実ちゃんって呼んでいいかな?」
「はあ……あの、ありがとうございます。呼び方は別に……お任せします」
リビングでも思ったが、機関銃のように話す人である。
愛実は戸惑いながら、どうにか返事をしたのだった。
「お隣が、加奈子さまのご次男、宏志さまです。愛実さんに最も年齢が近い二十三歳で、まだ大学生でいらっしゃいます」
顔を合わせたときから、この宏志だけは愛実に辛辣なまなざしを向けていた。
やたら調子のいい信一郎にまるで似ていない。兄弟だと言われなければ、きっとわからないだろう。
容姿も一七〇前後で小太り、何にも不自由したことのない金持ちの息子といった雰囲気だけは兄と同じだった。
宏志は少し顎を上げ、愛実を見下ろしながら口を開く。
食堂は天井が高く、大広間といった雰囲気だ。
テーブルは窓に近い、中庭がよく見える位置にセッティングされていた。
中庭は和風庭園の造りで、幻想的にライトアップされている。ほんの一メートル程度の高さではあるが、飛沫を上げて落ちる滝に愛実は見惚れてしまった。
長い食卓テーブルの上座に弥生が座る。
右手に信一郎、宏志、和威、そして美馬が着席した。左手には長倉弁護士、真ん中に愛実、末席に大川暁が座った。
「この屋敷にはわたくしを除いて、三家族八人が住んでおります。まずは孫たちの四人に揃ってもらいました。ひとりずつ……長倉、紹介してあげてくださいな」
弥生が口火を切り、長倉弁護士が「はい」とうなずいた。
「まずは手前から、弥生さまのご長女・加奈子(かなこ)さまのご長男、信一郎さまです。今年で三十三歳になられます」
「やあ、さっきはどうも。サーモンピンクのドレスが可愛いね、藤臣の趣味だとしたら、ちょっと妬けるなぁ。僕は美馬エレクトロニックの社長なんだ。派手さ加減じゃ東部デパートには負けるけど、企業実績じゃそうは劣らないよ。コンピュータのことならなんでも相談に乗るからね。ああ、そうだ、愛実ちゃんって呼んでいいかな?」
「はあ……あの、ありがとうございます。呼び方は別に……お任せします」
リビングでも思ったが、機関銃のように話す人である。
愛実は戸惑いながら、どうにか返事をしたのだった。
「お隣が、加奈子さまのご次男、宏志さまです。愛実さんに最も年齢が近い二十三歳で、まだ大学生でいらっしゃいます」
顔を合わせたときから、この宏志だけは愛実に辛辣なまなざしを向けていた。
やたら調子のいい信一郎にまるで似ていない。兄弟だと言われなければ、きっとわからないだろう。
容姿も一七〇前後で小太り、何にも不自由したことのない金持ちの息子といった雰囲気だけは兄と同じだった。
宏志は少し顎を上げ、愛実を見下ろしながら口を開く。