十八歳の花嫁
「それは君が気にすることじゃないさ。彼らには断る自由があるんだ。まあ、もし僕だったら……こんな可愛い女子高生と結婚できるんなら、財産なしでも飛びつくけどね」
「そ、そんな……」
「ああ、ゴメン、ゴメン。逆に脅かしちゃったかな。三十代半ばのおじさんの冗談だと思って聞き流してくれよ」
笑顔の暁につられ、愛実は思い切って尋ねてみる。
「あの……大川さんと美馬……藤臣さんはどういうご関係なんですか?」
「えーっと、弥生様の三女佐和子さんの再婚相手が、僕の親父なんだ。親父は美馬姓を名乗ってあの家に住んでる。僕が大学生の時に再婚してね、卒業までは僕もあの家に住んでたんだよ。藤臣くんとは義理の兄弟になるのかな」
美馬と暁が再婚相手の連れ子同士とは考えもしなかった。
「そうですか。それで……藤臣さんが大川さんと話すときは少し雰囲気が違うんですね」
「違う? そうかな?」
「はい。アパートの前では怒ったような感じで……お邸にいらっしゃる時の藤臣さんは、能面みたいでした」
愛実の感想に暁は声を立てて笑った。
「能面か、それはよかった。他には? 何か気が付いた?」
「他に、ですか? 信一郎さんと宏志さんのご兄弟とは仲が悪いように見えました。でも、和威さんのことは好きみたい。大奥様から養子だと聞きましたけど……本当にそれだけでしょうか? 何か、皆さん微妙に気を遣われているような気がして……」
頭に浮かんだことを素直に口にした。