十八歳の花嫁

信一郎は羽織っていたバスローブを脱ぎ、全裸で愛実に覆い被さる。

そのまま、ふっくらと盛り上がった胸元に顔を埋めたのだ。

生温かい舌が胸の谷間を這う。
まるで、なめくじを身体の上に置かれたような気色悪さだ。

愛実の鼻先に信一郎の頭が来て、髪からは男性用整髪料の匂いがした。
その強烈な匂いに思わず顔を背ける。


(こんな……こんな男の妻になるなんて……)


愛実は悔しくて堪らなかった。

信一郎と結婚なんて、ソープランドに売られるのと大差ない。

それくらいなら、例え詐欺に協力したことになっても藤臣を選ぶ。


(美馬さんに触れて欲しい。他の人じゃイヤッ!)


藤臣のことが好きだ……愛実は初めて恋を自覚した。

心の中で強く願った直後、彼女の全身に少しずつだが力が蘇る。

手足に神経が戻って来て、信一郎の拘束から逃れるため、メチャクチャに動かした。


「うっ! く、く、ぅ……」


愛実の膝が、偶然にも信一郎の大事な場所にヒットした。

信一郎が怯んだ隙に、彼女は必死でベッドから身体を起こした。

なんとか立ち上がると、ドアに向かって走ろうとする……が、酔っ払いのように足が縺れて前に進めない。
どれだけ力を入れても、膝が笑ったようになってしまう。


「この、ガキぃ!」

「きゃっ」


いきなり、後ろから髪を掴まれた。そのまま引き摺り倒される。

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