十八歳の花嫁
激しい勢いでドアが殴られた。
叩くと言うような生易しい音ではない。
室内に流れる音楽を凌ぐ勢いで、誰かがドアを壊そうとしている。
「信一郎! さっさとここを開けろっ! 開けなきゃぶち壊すぞ!」
凄まじい音と罵声に、ふたりの動きはピタリと止まった。
「美馬さん……助けて……助けてっ!」
藤臣の声を聞いた瞬間、頬を殴られて萎縮していた愛実の心が一気に浮上した。
「無駄だ。ドアには鍵がかかってる、チェーンもだ。無理に押し入ったら不法侵入で、警察に突き出してやる」
信一郎が勇ましいのは言葉だけだ。
彼はビクビクした顔でドアを凝視している。
そんな信一郎を睨みつけ、愛実は言い放った。
「そのときは、あなたにレイプされそうになったって、訴えてやるからっ!」
「なんだとぉ……全部、おまえのせいだ。この身の程知らずが!」
邪魔が入った憤りも合わせて、信一郎は再び愛実に手を振り上げ――。