十八歳の花嫁
第13話 救出
第13話 救出
「しゃ、社長……いったいどの道を通ってここまで」
藤臣の連絡を受け、瀬崎は彼より余程近い場所から駆けつけたはずなのだ。
ところが、到着は五分の差もなかった。
瀬崎がモーテルの責任者と話をつけている最中に、藤臣のポルシェが飛び込んで来た。
「そんなことはいい。鍵は? 部屋はどこだ、早くしろっ!」
苛々して掻き毟ったのか、藤臣は髪を振り乱し、目は血走っている。
全身から殺気がオーラのように立ち昇り、身長一六〇センチもなさそうなモーテルの責任者は、ガクガク震えていた。
おそらく、藤臣を堅気の商売とは思っていないだろう。
責任者は建物の前まで案内し、「穏便に話をつけてください」と瀬崎に懇願する。
だが、今の藤臣の辞書に「穏便」の二文字は見つかりそうもない。
まずは声をかけてから、という責任者を突き飛ばし、藤臣はドアの横に置かれた傘立てを掴んだ。
鉄製の傘立て一気に振り上げ、なんと、ドアをガンガン殴り始めたのだ。
その半狂乱ぶりに瀬崎は声も出ない。
「おい、何をしてる、さっさと鍵を開けろ!」
「で、で、ですが……」
「中で犯罪が行われてるんだぞ! 俺の婚約者がレイプされたら、貴様も共犯で刑務所に――いや、地獄に叩き込んでやる!」
管理人は鍵を瀬崎に押し付け逃げ出した。
瀬崎は慌てて鍵を開けるが、ドアにはチェーンがかかっている。
「社長、チェーンカッターを借りてきます」
瀬崎は大急ぎで先ほどの責任者を追おうとした。
だが、
「そんな時間はない。どけっ!」
藤臣はそう言うとドアのノブを掴んだ。
少しチェーンを緩め、一気にドアを引く――すると、チェーンの留め金が見事に壊れ飛んだのだった。
「しゃ、社長……いったいどの道を通ってここまで」
藤臣の連絡を受け、瀬崎は彼より余程近い場所から駆けつけたはずなのだ。
ところが、到着は五分の差もなかった。
瀬崎がモーテルの責任者と話をつけている最中に、藤臣のポルシェが飛び込んで来た。
「そんなことはいい。鍵は? 部屋はどこだ、早くしろっ!」
苛々して掻き毟ったのか、藤臣は髪を振り乱し、目は血走っている。
全身から殺気がオーラのように立ち昇り、身長一六〇センチもなさそうなモーテルの責任者は、ガクガク震えていた。
おそらく、藤臣を堅気の商売とは思っていないだろう。
責任者は建物の前まで案内し、「穏便に話をつけてください」と瀬崎に懇願する。
だが、今の藤臣の辞書に「穏便」の二文字は見つかりそうもない。
まずは声をかけてから、という責任者を突き飛ばし、藤臣はドアの横に置かれた傘立てを掴んだ。
鉄製の傘立て一気に振り上げ、なんと、ドアをガンガン殴り始めたのだ。
その半狂乱ぶりに瀬崎は声も出ない。
「おい、何をしてる、さっさと鍵を開けろ!」
「で、で、ですが……」
「中で犯罪が行われてるんだぞ! 俺の婚約者がレイプされたら、貴様も共犯で刑務所に――いや、地獄に叩き込んでやる!」
管理人は鍵を瀬崎に押し付け逃げ出した。
瀬崎は慌てて鍵を開けるが、ドアにはチェーンがかかっている。
「社長、チェーンカッターを借りてきます」
瀬崎は大急ぎで先ほどの責任者を追おうとした。
だが、
「そんな時間はない。どけっ!」
藤臣はそう言うとドアのノブを掴んだ。
少しチェーンを緩め、一気にドアを引く――すると、チェーンの留め金が見事に壊れ飛んだのだった。