十八歳の花嫁
☆ ☆ ☆
部屋に飛び込んだ瞬間、手を振り上げる信一郎が目に入った。
全裸で愛実に跨る姿に、藤臣の中で何かが切れた。
「貴様ーっ!」
藤臣は靴のまま駆け上がり、信一郎に飛びついた。
力任せに彼女から引き剥がし、ベッドの反対側まで投げ飛ばす。
そして、恐る恐る愛実に視線を移した。
ほんのわずか、セックスに関する言葉を口にするだけで、頬をピンクに染める。その反応が可愛らしく、からかい半分でつい口にしてしまう。
そんな彼女の初々しい桜色に頬が、今は真っ赤な薔薇の花びらを押し潰したようになっている。
ふっくらとした唇には血が滲み、フルフルと震えていた。
それだけではない。
男の力で思い切り鷲づかみにされたのだろう。
瑞々しく張り詰めたふたつの乳房に、爪痕がクッキリと残っていた。
藤臣の視線に愛実は気づき、懸命に身体を起こして胸元を隠そうとするが……。
信一郎は違法な薬を使ったに違いない。
薬の効果が完全に抜け切っておらず、彼女の身体は今にも倒れそうなほどふらついていた。
「やあ、藤臣。いや、違うんだ……俺と結婚したいって、自分からここまで来たんだよ。でも、おまえの声を聞いた途端、急に暴れ出して……つい」
信一郎はへらへらと笑いながら、ベッドの向こうに身を起こした。
口から出るのは、金目当ての女子高生に嵌められた、という責任転嫁、後は言い訳だ。
その言葉は藤臣の中に残った最後のブレーキを粉砕した。