十八歳の花嫁
直後、ふいに音楽が止んだ。
静寂が訪れた室内に、信一郎の呻き声が広がる。
そして、藤臣の背中に愛実が抱きつき……。
「死んじゃうから、やめてーっ!」
三脚を信一郎の頭上に振り下ろした瞬間、藤臣はハッとして我に返った。
躊躇に手が止まる。
先端に取り付けられたビデオカメラは、信一郎のこめかみを掠め、床に叩き付けられた。
ゴミと化したカメラを横目に、信一郎は声もなく床に転がっている。
「美馬さん……お願い、もうやめて」
藤臣は愛実の言葉に自分を取り戻した。
短い時間目を閉じ、額を押さえ、落ち着かせる。
(愛実はダメだ。誰にもやらない。この娘だけは……俺の物なんだ!)
滾るような思いが溶岩にように噴き上げて来て、藤臣を苛んだ。
「……た、たすけてくれ……悪かった、もうしない。その子には二度と手を出さない。だから……たすけてくれ」