十八歳の花嫁

第2話 疑惑

第2話 疑惑





藤臣の様子がおかしい。

和威は従兄の部屋を出て、階段に足を向けた。三階から二階に下りる途中で足を止め、考え込む。
これまで和威に対して、藤臣があんな好戦的な態度を取ったことはなかった。

藤臣が愛実を監禁、という馬鹿げた噂は、暁が笑いながら教えてくれたことだ。


『ありえないよな。藤臣くんの場合、そんな手段を取らなくても簡単にベッドに連れ込むさ』


和威もそう思う。

第一、西園寺家を訪ねたとき、愛実は藤臣に結婚の意志があることを知っている様子だった。
弥生の話は関係なくふたりは惹かれ合ったのだ、と藤臣を庇っていた。

仮に何かの事情で愛実と信一郎が会っていたとしても、藤臣は冷静で礼儀正しい男だ。病院送りにするような暴力を振るうとは思えない。


(信一郎さんが愛実さんに何かしたのか? 藤臣さんを怒らせるような何かを)


ため息と共に和威はゆっくり首を振った。
足元を確かめるように一段一段下りて行く。

藤臣はここ数日美馬邸に戻って来なかった。


『いつものホテルに泊まった様子はない。仕事には行ってるらしいが。さぁて、どこに泊まっていることやら』


愉快そうに暁は言っていた。

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