勇気を出して、空を見上げて。

よし、と頷いて、俺は真湖にカスタードの方を手渡す。自分はチョコのパッケージを開けると、二つに分けて小さい方を真湖に渡した。


「ご飯はちゃんともらえてんだろ?」

「うん。ご飯は出るよ」

「じゃあこっちだな。残しちゃ悪りぃし」

「……うん」


真湖が手を伸ばして俺の差し出したワッフルを受け取る。


俺は自分の分のチョコワッフルを口に加えると、真湖からカスタードの方もひったくって半分に分けた。


「まーこ」


一口齧ったチョコワッフル。意外と甘くなくて丁度いい感じの味だ。


半分に割ったカスタードワッフルを真湖の前に並べると、チョコワッフルの最期の一口を食べきった真湖が、俺の顔をそっと見上げてきた。


言いたいことは分かる。


「ちゃんと、残さないでご飯食えるか?」

「食べるよ! 約束する!」

「残したら今度は持ってこないからな」

「分かってるよ!」


指切り、と大きい方を渡して空いた手で指切りげんまん。


また窺うように死して俺を見上げた真湖に、無言で自分の持った小さい方のワッフルに齧りつく。


それを見て安心したように食べ始めたその頭を、片手で乱暴に撫でた。


楽しそうに笑った顔の真湖が唇の端にクリームをつけたまま見上げてくるから、それを指で拭って自分で舐める。


チョコより甘かった残りのワッフルを口の中に放り込むと、ちまちまと食べ進める真湖を眺めた。


どうか、


俺が護れるようになるまで、もう少し頑張ってと。


なんて、真湖には言えるわけないんだけど。


期待を持たせて後で破ることになるようなことはしたくない。だからこれは、俺の中での約束だ。


きっと、アイツとの。


「星お兄ちゃん、おいしかった!」

「そりゃあよかったな。俺作ってねーけど」

「星お兄ちゃんは作れないでしょ」

「ばっかお前俺だって作ろうとすればな! 作れんだよ多分!」

「多分がすごく不安だよ?」

「だって俺は料理専門だからな」

「星お兄ちゃんのご飯好き!」

「今度うち来たら作ってやるよ」

「ほんと!?」


それくらいの約束は、いいだろ?


おうと請け合って、膝から真湖を降ろした。そろそろ時間だ。


あと四年。それだけ待ってくれ。




────護りたいから、

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