双子の御曹司
男児玩具の戦隊物が発売されると、売上が期待される。
私は何時ものように、18時の中間チェックで売上確認をする。
今日の予算は高めだったけど、なんとかクリアーした。
「ヨシ!」
私は小さくガッツポーズする。
「麗華ちゃん、あと宜しくね?」
「はーい! お疲れ様でした。」
宇佐美麗華(うさみれいか) 入社1年目だが、なかなか動きのいい子である。
彼女に後を任せ、私は売り場を後にする。
事務所に寄って商品部からのメール確認をしていると、副店長から声がかかる。
「おー遥、お疲れ今日は早番か?」
「お疲れ様です。はい、あがりです。」
「今日の売上はどうだ?」
「勿論、予算クリアーですよ!」
右手でブイサインを向けると、副店長は優しく微笑んでくれる。
「ところで遥、彼氏は出来たのか? もういい歳だろう?」
「あっ! それセクハラですよ!?」
私は副店長を睨み口を尖らせて言う。
「由佳子が心配してたぞ? お前の年には、もう遥が生まれていたからなぁ…。」
ヤバイ始まった!……
由佳子とは私の母で、副店長と私の両親とは大学時代からの友人で、私も小さい頃はよく、可愛いがってもらっていた。
このK店に移動になった時も、伊月のおじさんが副店長としてK店に居るとは知らなかったので、顔を見て時はホント驚いたのだ。
同じ会社に居ることは知っていたが、まさか同じ店で働くとは思っても、見なかったからである。
今では公私ともに気にかけてくれるが、この話になると長くなる。
私は「アハハ…お先でーす!」と苦笑いをして事務所を逃げるようにして出た。