双子の御曹司
「ここは僕が住んでる部屋なんです。」
「えっ?」
今、何とおっしゃいました?
聞き違いで無ければ、住んでると言いましたよね?
「食事まだですよね?」と言い西園寺さんはどこかに電話をした後、再び話始めた。
「帰国してから、暫く実家に居たんですが、ここの方が何かと便利で、今はここが僕の自宅です。」と、西園寺さんは微笑んで話す。
いくつかある扉の一つが少し空いていて、ベットが見える。寝室の様だ。
リビングテーブルには、沢山の書類が広げられ、今まで仕事をしていた事が分かる。
すると、トントンとノックの音がした。
西園寺さんがルームサービスを頼んでくれたらしく食事が運ばれてきた。
鯛と海老のアクアパッツァ、パンに、スモークチキンのサラダがテーブルに並べられ、西園寺さんと一緒に頂くことにした。
「今夜は悪天候に感謝しなくては?」と言う西園寺さんを見ると、優しい笑顔を向けられる。
「え?」
「電車が止まってくれたおかげで、こうして遥さんと食事が出来たのですから?」と微笑む。
な、なに?
お酒飲んで無いのに、動悸がする。
食事が済むと、西園寺さんは閉まっている部屋の扉を開ける。
「遥さんは、こちらの部屋を使って下さい。 明日もお仕事ですよね? 僕はもう少し仕事がありますので、ここに居ますが、中から鍵がかかりますから、安心して下さい?」
「え? あっはい。有難うございます。」と、言って、案内された部屋に入った。
部屋にはバスルームも付いていて、西園寺さんは『何か必要なものがあれば言って下さい』と、言っていたが、パウダールームにはアメニティグッズも全て揃っている。
「こっちの部屋にもバスルームが付いてるなんて…本当にすごい部屋…一泊いくらするんどろう?」
自宅代わりにこんな立派な部屋使うんだ…
さすが御曹司だわ…
寝不足だったせいかシャワーを浴び、ベットに入ったら、すぐに眠りに就いていた。