双子の御曹司

「お姉さんこんにちわ!」

「あら? 稔君こんにちは。 今日は病院だったの?」

「うん! 今日は注射した… でも泣かなかったよ! 凄いでしょう?」

「凄い! 稔君強いんだね?」

誇らしげに話す稔君を、褒めてあげると、少し照れているようだ。

ウフフ 可愛い。

「こんにちは?」と声がかかり顔を上げると、稔君のお父さん、勝士さんが立っていた。

「こ、こんにちは…」

「あれから竜仁と進展ありました?」

進展?…進展と言う進展は無い…と思う。

ただ自分の気持ちの変化はあった…

「先日、悪天候で電車が止まってしまって、帰れなくて困っていたところを、助けて頂いきました。 本当に助かりました。 竜仁さんに宜しくお伝え下さい。」と私は会釈をする。

「そうでしたか? それなら直接伝えて下さい。」

「………」

え?
直接?……

いやいや! その場で勿論、お礼は言いましたよ?

でも、身内の方に会ったら、『宜しくお伝え下さい。』って挨拶するのは大人としてマナーと言うか、社交辞令では?

直接と言われたら、改めてお礼に伺わなくちゃいけないよね?
でも、自分の気持ちに気付き、あれを見てしまっては…

「お姉さん? たっちゃんとお友達になったんだよね?」

「えっ?」

稔君の問いかけに、答えられずに居ると勝士さんは「そうだよ? お友達になったんだよ!」と言う。

稔君が私の顔を確認するように見つめるので、思わず「うん。お友達だよ?」と微笑み言ってしまった。


友達?……






< 46 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop