双子の御曹司
「お姉さんこんにちわ!」
「あら? 稔君こんにちは。 今日は病院だったの?」
「うん! 今日は注射した… でも泣かなかったよ! 凄いでしょう?」
「凄い! 稔君強いんだね?」
誇らしげに話す稔君を、褒めてあげると、少し照れているようだ。
ウフフ 可愛い。
「こんにちは?」と声がかかり顔を上げると、稔君のお父さん、勝士さんが立っていた。
「こ、こんにちは…」
「あれから竜仁と進展ありました?」
進展?…進展と言う進展は無い…と思う。
ただ自分の気持ちの変化はあった…
「先日、悪天候で電車が止まってしまって、帰れなくて困っていたところを、助けて頂いきました。 本当に助かりました。 竜仁さんに宜しくお伝え下さい。」と私は会釈をする。
「そうでしたか? それなら直接伝えて下さい。」
「………」
え?
直接?……
いやいや! その場で勿論、お礼は言いましたよ?
でも、身内の方に会ったら、『宜しくお伝え下さい。』って挨拶するのは大人としてマナーと言うか、社交辞令では?
直接と言われたら、改めてお礼に伺わなくちゃいけないよね?
でも、自分の気持ちに気付き、あれを見てしまっては…
「お姉さん? たっちゃんとお友達になったんだよね?」
「えっ?」
稔君の問いかけに、答えられずに居ると勝士さんは「そうだよ? お友達になったんだよ!」と言う。
稔君が私の顔を確認するように見つめるので、思わず「うん。お友達だよ?」と微笑み言ってしまった。
友達?……