双子の御曹司

なんだか今日はいつもより疲れた…

自宅の玄関を入ると靴を脱ぎ捨て鞄を放り投げてベットに倒れこんだ。

来週の金曜日か…

ハァー…と大きなため息を付く。

その時、鞄の中のスマホが鳴ってるのに気づく。

誰だろう?

鞄の中を探りスマホを取り出す。

画面には西園寺さんの名前が表示されている。

出るのを躊躇していると、切れてしまった。


「あっ切れちゃった…」

がっかりしているとまた直ぐにスマホが鳴る。

慌てて通話をタップすると『遥さん?』と竜仁さんの声が聞こえて、嬉しくなった。

「こんばんは。 先日は有難うございました。」

声が聞けて、嬉しかったはずなのに、駅前で見た光景がよみがえり、愛想なく挨拶してしまった。

『いいえ。 僕の方こそ楽しい時間を有難うございました。 それで遥さん明日はお仕事ですか?』

「はい。出勤です。」

『明日、仕事の後、食事に付き合って頂けませんか?』

え?
どうして…
あなたには、あの女性(ひと)が居るのに…?

「でも…」

『お店まで、迎えに行きますので、では、明日。』

竜仁さんは、一方的に話して、私の返事も聞かずに切れてしまった。

「明日予定が入ってたらどうすんのよ!?」

繋がっていないスマホに、ひとり話していた。




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