双子の御曹司
通りかかった副店長を麗華ちゃんが呼び止めた。
「どうした?」副店長は私達を見て西園寺さんに気がついた様で、「西園寺さん。 その節はどうも?」と挨拶する。
西園寺さんは「その節は有難うございました。」とお互い会釈をする。
「副店長、遥さん働き過ぎですよね? 今日もフルやるって言うですよ!」
「おいおい、労働基準法に引っかかるぞ? 勘弁してくれよー?」と副店長は大袈裟に言う。
「ね? 遥さんデートに行っちゃって下さい。」
「デートか? して来い、して来い!なんなら明日も休んで良いぞ?」と副店長は言う。
デートって…
それに明日は会議があるでしょうよ!?と、無言で副店長を睨む。
「さすが副店長太っ腹! 遥さんの初めての男だけありますね?」
「あぁ、俺は遥の始めての男だからな!? 今でも遥を事、大切に思ってるよ!」
副店長と麗華ちゃんは、ふざけた会話を始めた。
そんな会話を聞いた西園寺さんは、目を真ん丸にして固まっている。
「もぅ! 二人とも誤解を招く事、言わないで下さい!!」
麗華ちゃんまであんな事言うなんて、信じられない。
2人を睨むが、この後どんな話が飛びでるか分からない。
早くこの場から西園寺さんを移動させなくては…
「西園寺さん着替えて来ますので、裏の通用口の方で待ってて頂けますか?」と言って、私は売り場を後にした。
ったく…あの2人、何考えてるのか!? 西園寺さんが本気にしたらどうするのよ!!
あれ…?
私何でこんなに、怒ってるの?
麗華ちゃんや、副店長に、腹は立出てたけど、彼にどう誤解されようが、どうでもいいはず。
西園寺さんとのお付き合いは、お断りするつもりだったのに…
着替えを済ませて、通用口に向うと、テナントの人達だろうか?
若い女の子達が騒いで、通用口から入って来た。
「あの人、カッコイイよね?」
「うんマジ、イケメンだった!」
「誰待ってるんだろう?」とそんな会話が聞こえた。