双子の御曹司
急に車が止まり、外を見ると車は路肩に停まっていた。
西園寺さんはシートベルトを外し、体を私の方に向けると、私の顔を覗くように少し顔を傾ける。
「話してくれませんか? 今、貴女の考えている事」
西園寺さんはそう言い、私の手にそっと触れた。
体がビックとして、私はその手を払いのけてしまった。
「遥さん…僕を好きにはなって貰えません……か?」
西園寺さんの顔は見れないけど、悲しそうな声に聞こえた…
どうして?…
貴方には綺麗な人が側に居るじゃない…?
「どうして…?…西園寺さんには… 他に素敵な方が、いらっしゃるじゃないですか? 私なんか誘わなくても…」
悲しさなのか、悔しさなのか、最後は声が小さくなってしまった。
「言ってる意味が、分からないのですが?」
「私、見たんです。… 駅前であなたが綺麗な人と腕を組んで歩いている所を… だから… 私に構わないで下さい!」
自分の気持ちに気付いてしまった今、どうこの気持ちを、整理したらいいのか分からない。
「ああ。見られてたんですね? それでなんだ?」と西園寺さんは、嬉しそうに言うと、車を再び走らせた。
な、なにこの人! 彼女がいる事がバレて笑ってる??
開き直るつもり??
私を馬鹿にしてるの!!
信じられない!……