双子の御曹司
その人は私の問いかけに、凄く驚いている様だった。
あれ?…私、変なこと言った?
「えっ? あっ、はい… 稔の父親とは双子でして…」
へぇー双子なんだ…? そうだよね? こんなにそっくりなんだから。
その時、稔君から声が掛かった。
「ねぇお姉さん昨日見た?」
「うん。見た見た、見たよ! 忍者丸かっこ良かったねぇ?」
「僕ねぇ録画してもらって5回も見たんだよ! 帰ったら、また見るんだ!」
戦隊物が大好きな稔君は、目を輝かせて話してくれる。
「すごいねぇ?」
私も目を丸くして驚いて見せると、稔君は少し照れたように微笑む。
「お姉さん! 忍者丸のおもちゃ、まだ入って来てないよね?」
「うん。ごめんね? もう少し待っててね?」
稔君は「うん!」と笑顔で頷くと、側に居た伯父さんに顔を向ける。
「たっちゃん。
今日はおもちゃ買わなくて良いよ!」
「えっ? 良いのか?
おもちゃが欲しかったんじゃないのか?」
「うん、違うよ! お姉さんに会いに来ただけ、お話したからもう良いんだ。」