双子の御曹司
会議が始まり、伊月副店長から説明を受ける。
「先ずは、日にちの振り分けをする。 1周目はカジュアル、2周目は紳士、3周目婦人と子供服、4周目は玩具、5周目は食品だ。 それでは、各売り場からの企画の説明を始めてくれ。」
初めにカジュアル担当の木下さんが企画の説明を始める。
すると隣に座っていた凪沙が小さな声で話す。
「ねぇ? 木下さん、遥を意識してるでしょ? チラチラこっち見てるじゃん!」
「気のせいじゃない?」
凪沙に言われて、こっちが変に気にしちゃうよ…
凪沙には、気のせいだと言ったけど、確かに目が合いすぎるような…きがする。
「いやいや、あれは絶対、遥を見てるって!」
「凪沙、そんな事より子供服、婦人服と合同なの?」
「そぅなのよ! 親子でファッションショーをやる事になってさ…。」
凪沙は深い溜息を付く。
「あのお局様と? ご愁傷さま。」と、私は笑う。
お局様とは勤続年数18年、この店舗には、もう7年になるらしい。婦人服担当の桜井光子さんである。
何かと小うるさいと、ほかの店舗でも有名らしく、引き取り手がないらしい。
あくまで噂だけど…
等級も課長クラスらしいが、性格的に問題があるから、課長にはなれないと言う噂だ。
確かに下のものを育てるタイプじゃないし、女性陣への当たりも強いから、嫌われるタイプかもしれない。
それに最近では、年齢的にも結婚を焦って、テナントの男性にもアプローチしてるという噂もある。