双子の御曹司
「酔い覚ましに少し歩こうか?」
手を繋いで、二人街路樹の道を歩いた。
心臓がドキドキして、繋いでいる手から、西園寺さんに伝わるんじゃないかと思うくらいだ。
ホテルの部屋に戻ると、窓から見る夜景は素敵だった。
後ろからそっと、西園寺さんの腕が回り、抱きしめられ、ビクと体が震えた。
「遥ちゃんありがとう。」
「えっ?」
彼の顔を見上げると、彼は何処か遠くを見て話始めた。
「俺と勝司は一卵性だから、良く似てるだろ?
勝司と優里は学生の頃から付き合っていて、二人で居る所を俺とよく間違れたよ…
俺、高校は、二人と違うとこ行ってたから…
俺が双子だって知ってる奴、少なくて…
その時、付き合っていた彼女に誤解された事は、一度や二度じゃなかった…
『一緒にいた人は誰!? あの女と何してたの?』って、ヒステリーを起こす子も居た。
双子なんだと、誤解だと説明しても、信じてくれなくて…
優里にも辛い思いをさせた。
どうして俺と勝司が、分からない!?
優里は分かってくれるのに…
もう人を好きになるのは辞めよう。
二度と人を愛さなければ、傷つく事も、傷つける事もない。
そう思ってた。
だけど遥ちゃんに逢えた。
綺麗な人だと一目惚れだったよ?
そして遥ちゃんは、俺と勝司が違うって、見分けてくれて、俺は遥ちゃんに囚われた。
稔に向ける優しい眼差し…
その眼差しを俺にも向けて欲しい。
俺には、遥ちゃんしかいない。そう思った。
こうして遥ちゃんを、抱けるなんて夢のようだ。」
竜仁さんは、双子であるがゆえに、味わってしまった辛い過去。
私には、とうてい分かる事の出来ない辛い思いを、して来たのだろう?
この人の側に居たい…
この人をずっと愛したい…
そう思うと、自然に体を、彼の方へ向き変えて目を閉じていた。
すると、優しく唇が触れ合い、少し離れたと思うと、直ぐに上唇下唇と、啄むようにキスをされた。
「ぁ…」
少しの隙間から、彼の舌が入ってきて、私の舌を絡め吸い取る。
「ん……ぁ」唇を離すと見つめ合い。
「遥…まだ一緒に居たい。泊まっていかないか?」
「あの…」
体が固まる。
「何もしない。遥の心の準備が出来るまで、待つから?」
そんな竜仁さんの優しさが嬉しくて、私はただ頷いた。
シャワーを浴び、バスローブに着替えると、胸元が開けないように、手で抑え緊張はしていたが、彼を信じ一緒のベッドに入った。
彼に優しく抱き寄せられ彼の胸で朝まで眠った。