双子の御曹司

「遥さん、時間ですよ?」

「本当だ。麗華ちゃんごめんね? 明日、よろしくお願いします。」

「了解です。」麗華ちゃんは、右手を額にあて敬礼してみせる。

「アハハ…じゃ、お先に!」と売り場を後にする。

西園寺さんに【今から向かいますね?】とメールをすると名古屋駅まで迎えに行くよと言われ駅近くのカフェで待つ事になった。
私は足元に置いた紙袋を見て微笑む。
喜んでくれるかな?

火曜日に水野から電話があった時、

『1つお願いがあるんだけど…来週月曜日に入荷する新商品忍者丸のレインボー手裏剣を1つ木曜日までに何とかならない? サンプル品来てないかな?』

『今日商談でメーカーが来るから頼んでみるよ。1つだけなら、サンプルとして、何とかなると思うよ? 渡瀬、貸しだからな?』

本当に水野には、沢山の借りがあるな?…
10分ほど待っていると、自動ドアがあき、西園寺さんが入って来た。
彼は店員さんに、すぐ出ますのでと声を掛けた。

「遥、出よ?」

「はい…何か急いでます?」

車に乗り込むと

「遥、急だけど、今から俺の両親に会って欲しい。」

「えっ今からですか?…」

「実は、今日親父から電話があって、明日稔の誕生日パーティで会う前に、一度会っておいた方が良いだろうって、話で連れて来いって言われてさ、嫌か?」

「いいえ、あの…ご両親は私の事どこまで知ってらしゃるんですか?」

「俺の一目惚れって、事も、みんな話してあるよ」

一般家庭の私とお付き合いする事を反対するのでは…
せめて服装だけでも失礼の無いようにしないと…
明日の服は、竜仁さんに買ってもらった服が、彼の部屋に置いてあるからと思っていた。
今日はGパンに、白のTシャツに、レモンイエローのジャケットこんなカジュアルでは行けないよ…

「ご両親にお会います。でも…この格好では、着替えたいので、一度ホテルに寄ってもらえますか?」

「別にそのままでも良いけど? 遥がきになるなら… でも、ホテルに戻るの面倒だな… よし、途中で買えば良いか?」

えーまた買うの?
ハァー…
しばらく走って、車が止まったのはセレクトショップ

「ここも高いですよね?…」

「そんなこと無いと思うよ?」

手を引っ張られてお店に入り竜仁さんの選んでくれたサーモンピンクのワンピースを試着する。

「うん似合う! 決まりだね?」

そのまま着て行くからと、着ていた服を袋に入れてもらい店を出た。

「西園寺さん、手土産を買いたいので、ちょっと寄ってもらって良いですか?」

「気を使わなくても良いと思うけど、遥が言うなら寄るよ?」

洋菓子店に寄ってもらった。
駐車場が空いてなかったから、路駐で西園寺さんには車で待っていてもらった。

ここの窯出しチーズケーキ、テレビや雑誌にもよく取り上げられてて、美味しいだよね。

「お待たせしました。チーズケーキにしたんですけど、良かったですか?」

「うん、喜ぶと思うよ?」




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