計画的俺様上司の機密事項
「……もう、シンちゃん!」


「おお、夏穂の雷が落ちましたぞー。ああ、こわい、こわい。おへそなくなってるかな〜、ああ、まだあった。なくなってたかと思った」


そういって、着ていたTシャツをめくっておへそをみせてくる。

なめらかな肌にくっきりとした腹筋が現れて一瞬、ドキッとしてしまう。

目のやり場に困って急いでシンちゃんのTシャツの裾を持って下げてあげた。


「だから、なんでキスするのっ。ていうか、人の前でTシャツの裾、めくらないでよ」


「まんざらな顔してんじゃん。さすがに会社じゃあできねえだろが。ほう、それともしてもっとほしいのか、これ以上にあんなことやらこんなこと。大人なオレがいくらでも教育すると言ってるじゃあないか。ん?」


さらにシンちゃんはにやけ顔を近づけてくる。

そういうことに関しては加速してくるから困るんだってば。


「もう、そんなことはいいから」


シンちゃんのにやけ顏を遠ざけるように両手でぎゅっと押しのける。

がははは、とごまかすようにシンちゃんは笑ってテーブルにあったお皿を片付けてシンクに持っていき、食器を洗い始めた。


「頑張れるのは、笑った顔が見たいからだと思うけどな」


ぽつりとシンちゃんはつぶやいた。

どういうこと、なんだろう、と思ったら、先に風呂入るわ、と言ってさっさとお風呂場へと向かってしまった。

小さな頃のあの純粋だったシンちゃんはどこへいってしまったんだろう。

そういえば、小さいとき、シンちゃんと一度だけ約束をしていたことがあったことをふと思い出した。

それを果たそうとした思ったんだけど、それ以上思い出すと頭が痛くなってきたのでやめた。
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