計画的俺様上司の機密事項
project3:部長の言い分、部下の言い訳。
街はどこもかしこもハロウィンの雰囲気でいっぱいとなった10月末。

仕事は相変わらず自分の仕事プラス掃除、そして渡瀬先輩のフォローで手一杯だった。

11月の中旬にキュレーションメディアサイトがリリースすることが決定して記事も9割方まとまった。

ウェブ上にどういうアレンジの仕方で載せたらいいのかというのを話し合い、誰にでも親しみやすいロゴだったり、配置の仕方を野上くんと相談しながら進めていった。

相変わらずタイムカードの紛失が相次いだ。

さすがにこれは頻繁に起こりすぎたので、シンちゃんにタイムカードの話をすると、わかったと納得してくれた。

渡瀬先輩へのフォローへ行ったとき、渡瀬先輩と真鍋先輩にタイムカード紛失の話をすると、そういえば、昔、そんなことあったっけ、と両先輩が話してくれた。


「ちゃんと管理してなかったでしょ、って怒られたけどね。あとでタイムカードが束になって見つかったこともあったっけな」


「おかしな話。結局紛失したけど、仕事の事実があるから文句言っても仕方ないのはわかってるのにね」


と二人の先輩は顔を見合わせながら呆れ顔でため息をついていた。

外部スタッフの書いた記事を校正しているとき、赤ペンのインクがかすれ始めた。

部屋を見渡し、必要なものはないかと下の階から少し備品をもらってきているけれど、さすがに気がひけるなあ、と思うようになった。


「そういえば、備品、うちの部でも調達してもいいでしょうか?」


シンちゃんに相談すると、軽く頷いた。


「ああ、いいよ。フォーマットが電子掲示板の中にあるからオレにあとでメールで送って」


「わかりました」


掲示板の共有フォルダの中に『備品注文』の中のデータを探して内容を書き込んでシンちゃんにメールをした。


「送ったのでお願いします」


とシンちゃんにお願いすると、すぐに責任者へ送ったから、とシンちゃんが答えてくれた。

すると、しばらくしてわたしの机の内線が鳴った。
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