計画的俺様上司の機密事項
「そういえばさっき内線鳴らしたら部長が出て、6階にいったっていってたな」


データの送信が完了して、真鍋先輩のはからいでちょっとだけ休憩することになった。

他の社員の机の島の人たちも自分たちの受け持つ仕事がひと段落したのか、休憩をしている。

真鍋先輩は机の上に丁寧に紅茶とクッキーを並べてくれた。


「6階って総務ね。ああ、だから部長が備品についてだなんて話をしたわけね。手続き、教えるの忘れてたわ」


「いえ、こちらの数量入力ミスが原因でしたけど」


「とうとうお局の上条さんからコテンパンにやられたか」


「お局だなんて、嫌ね、渡瀬ちゃん」


かわいらしくうふふと笑ってから真鍋先輩は紅茶を飲んでいた。

わたしも答えに困ってクッキーをいただいた。

紅茶の葉が練りこまれていて、さっぱりとした甘さが口に広がり、紅茶との相性が抜群だ。

それをみた真鍋先輩は口にあってよかった、と頷いている。


「でもどうして集中攻撃されなきゃいけないのかしら? 今まで一度も関わり合いなかったのにね」


真鍋先輩も渡瀬先輩も二人とも首を傾げている。


「上条さんに何かしたんじゃない? 総務にケンカとかふっかけてきたとか」


「そ、そんなことはないですよ」


確かに思い当たる節がない。

外部に出すなら怒られても仕方がないけれど、内部での話に1個のミスに怒られなければいけないんだろう。

上条さんに目をつけられると会社を辞めるなんていう噂を渡瀬先輩と真鍋先輩が話している。

上条さんは人事にも顔がきくらしい、と渡瀬先輩が顔を引きつらせながら話すから何だか不安になってきた。


「上条さんに何か言われたら相談にこいよ。有沢にはお世話になりっぱなしなんだから」


「一番効果的なのは結城部長だけど、あの上条さんと対決できるかしらね」


やっぱり真鍋先輩は、うふふと笑っていた。
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