計画的俺様上司の機密事項
そういえば今日給料の締め日だったっけ。

タイムカードがない状況で適切に処理してもらえるんだろうか。

また相談しなきゃいけないのかな。

自分の席に戻り、来月の特集のクリスマスについてのアイデアを考えつつ、外部のスタッフからの記事を集めていると、お昼休憩に差し掛かった。

上条さんへの対応でくたくたになりながらも、やっぱりお腹は空く。

シンちゃんお手製のお弁当が午後の活力源となるのでありがたい。


「今日も有沢さんのお弁当、おいしそうだね」


甘い卵焼きを頬張っているところで、野上くんがコンビニ袋をぶらさげながら、わたしの後ろから覗いてきた。


「ああ、ごめん。また作れなくて」


「いいよ。時間はたっぷりあるんだし。気が向いたときにでも、ね」


さわやかな笑顔でこたえてくれる野上くんだ。

野上くんとそういえば二人っきりなんだよな、と思いながらも、これからのことを考えると頭がいっぱいでそれどころではない。

まずはお弁当をしっかり食べてエネルギーチャージを完了させた。

昼休みが終わる前になって、シンちゃんが部屋に戻ってきた。

シンちゃんが席につくなり、机の前にいって、軽く深呼吸をする。


「結城部長、今よろしいでしょうか」


「どうかしたか?」


シンちゃんはあごに手をやり、わたしに目を向けた。


「今日締め日なんですが、わたしのタイムカードが以前からなくなってしまって」


「それで?」


「新しいタイムカードで入退室記録をとっていたんですが。先輩たちに聞いたら以前にもそういったことがあったけれど、そのときは処理してもらえたという話だったようです」


「わかった。聞いてみる」


給料の関係も総務が担当なので、シンちゃんは電話をかけてくれた。


「タイムカードの件でお話しがあるんですが。ウチの部署の子でタイムカードを無くしたそうなんですが、ええ、はい、わかりました」


シンちゃんは話を終えると静かに受話器を置いた。


「その件について話があるみたいだ。有沢、いってこい」


「……わかりました」


自分の席についたのも束の間、また上条さんの睨んだ顔をみなければならないと思うと気持ちが重くなる。

重い足取りで総務へと足を運んだ。
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