計画的俺様上司の機密事項
「ただいま」


「おかえり夏穂」


シンちゃんはいつも通り玄関まで迎えにきてくれた。

いつものスタイルにはかわりないんだけど、シンちゃんが何かを言いたげにじっと見つめてきた。


「ど、どうしたの？」


「んー。別に」


そういってシンちゃんは自分の髪の毛をくしゃくしゃと無造作に掻いている。

もしかして今日あったことなんだろうな。


「シンちゃん、野上くんの件だけど、実は……」


「知ってたのか、夏穂」


「……ごめん。土曜、ごはん食べているときに野上くんが言ってたの」


シンちゃんは、はあ、と強めのため息をもらした。


「そうだったのか。早く聞けばよかったけど、夏穂の立場もあるか」


「野上くんも悪気があったわけじゃないと思う。会社のためと思ってやったことだろうし」


「オレにケンカ売ってるわけじゃないのはわかってるけど」


あんなに会社では威厳ある顔つきだったのに、今いるシンちゃんは煮え切らない気持ちでいっぱいなのかもしれないのかな、と思った。


「会社の話、させてすまんな。さて、飯にするか」


納得のいかないような、そんな顔をしながらダイニングへといってしまった。
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