計画的俺様上司の機密事項
project4:部長の核心、部下の本心。
木枯らしが吹き、だいぶ寒くなった11月も半ばに差し掛かる頃。

サーキュレーションメディアサイト『シェアキュレ』の稼働が本格的になってきた。

3階のウェブ版情報誌を担当しているウェブ制作責任者が見本用につくってくれたサイトをチェックしてみたところ、デザインも女性らしいピンクや白を基調としたやさしい色を使い、記事の見栄えも遜色ない仕上がりにシンちゃんも満足していた。

その雛形に記事を流し込めば簡単に作成できるので、ウェブ関係に疎くても作業はできるようになっている。

出社してしばらくしてから、シンちゃんがちょっといいか、とわたしと野上くんの作業の手をとめた。


「いよいよ、明日、サービスを開始することになった。今日、試運転ということで、サイトを仮に稼働することになった。これからテストする」


シンちゃんは自分のパソコンで操作して『シェアキュレ』を稼働させた。

仮のページなので、まだネットにはつながず、まずは電子掲示板につくられた社内専用ページにアクセスしてみる。

すると真っ白な画面しかでてこない。


「結城部長、まったく見られないんですが」


「どういうことだ」


何度もページにアクセスしなおしても真っ白な画面しかでてこなかった。


「オレの名前でログインしてるんだが、有沢、どうにかならないか?」


「わたしに言われても」


さすがに社内専用の電子掲示板に関しては総務が担っている。わたしが太刀打ちできる問題でもない。

困ってしまったところで、野上くんが席から勢いよく立ち上がった。
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