計画的俺様上司の機密事項
『シェアキュレ』の公開をして2週間が過ぎた。

まだそんなに知れ渡っていないかな、と思ったけれど、謎の主婦ブロガー《*arikaho*》さんのブログでも紹介され、ファンの人がこぞって閲覧してくれているかいがあってか、閲覧数もだいぶ増えていった。

波及するように、ウェブ版の情報誌のほうにも訪れてくれているようで、掲載したいとお願いしてくるお店も増えていっていると、真鍋先輩から教えてもらう。

公開という段階を踏むことができて、あとは安定した記事づくりを進めていくことになり、少しは肩の荷がおりた。

記事を製作して、ひと段落ついていると、視線が気になった。

野上くんがパソコン越しに視線を送っていたのだ。


「有沢さん、今度時間作ってくれないかな?」


「え?」


「この間、いけなかったディナーに誘いたいんだけど」


「いや、でも、仕事中だけど」


「じゃあ、あとで聞くから」


と、野上くんは仕事中、シンちゃんがいる前でも堂々とご飯を誘うようになってきた。

シンちゃんが席をはずしたすきに、さっきの答えなんだけど、とすかさず聞いてきたので、都合が悪いからまた今度ね、と答える。

野上くんは、スケジュール空いたら絶対に行こうね、と念をおしてきた。

おかげで家に帰ってきて、シンちゃんは、なんだよ、あの態度は、オレがみえないのか、とムカムカしているみたいだけど。


< 173 / 252 >

この作品をシェア

pagetop