計画的俺様上司の機密事項
バタン、と大きな音を立ててドアが開けられ、靴音を響く音が近づいてくる。
背の高い人がわたしと野上くんがいる本棚の入り口で立ち止まった。
「ここは恋人の聖地か、何かか!」
「シンちゃん……」
「夏穂を傷つけようとするやつは許さねえよ」
野上くんの肩越しにシンちゃんがスーツ姿のまま立っていた。
野上くんはあわててわたしから体を離し、何事もなかったかのように腕を組んでシンちゃんを睨みつけている。
シンちゃんの顔をみたら、ふんばっていた体が安心して力を保てなくなって、ずるずると壁を伝いながら冷えた床にしゃがみこんだ。
「結城部長、どうして資料室にきたんですか。早く帰るってさっさと帰ったじゃないですか」
「泳がせておいたんだよ。今まで」
「泳がせる? そんな冗談、笑えませんよ」
「ずっと野上のことあやしいって思ってた。純情そうな顔してて、中身は真っ黒なんだな」
シンちゃん、野上くんの正体、知ってたんだ。
わざとわたしに隠していたのか。
「あんたの彼女、白状したよ」
「彼女って」
野上くんが白々しくとぼけていると、シンちゃんはくだらなく感じたのか、はあ、と強めにため息をもらした。
背の高い人がわたしと野上くんがいる本棚の入り口で立ち止まった。
「ここは恋人の聖地か、何かか!」
「シンちゃん……」
「夏穂を傷つけようとするやつは許さねえよ」
野上くんの肩越しにシンちゃんがスーツ姿のまま立っていた。
野上くんはあわててわたしから体を離し、何事もなかったかのように腕を組んでシンちゃんを睨みつけている。
シンちゃんの顔をみたら、ふんばっていた体が安心して力を保てなくなって、ずるずると壁を伝いながら冷えた床にしゃがみこんだ。
「結城部長、どうして資料室にきたんですか。早く帰るってさっさと帰ったじゃないですか」
「泳がせておいたんだよ。今まで」
「泳がせる? そんな冗談、笑えませんよ」
「ずっと野上のことあやしいって思ってた。純情そうな顔してて、中身は真っ黒なんだな」
シンちゃん、野上くんの正体、知ってたんだ。
わざとわたしに隠していたのか。
「あんたの彼女、白状したよ」
「彼女って」
野上くんが白々しくとぼけていると、シンちゃんはくだらなく感じたのか、はあ、と強めにため息をもらした。