計画的俺様上司の機密事項
「上条だっけ? ずっと長いこと3階の宮本と付き合ってて不仲になっているってわかった上で、わざと付き合いはじめたんだろう。すべては有沢と付き合うためのフェイクな付き合いを」


「し、知らないですって。上条さんと付き合うだなんて、おかしな話だなあ」


野上くんは頭をかきながら、やんわりと否定していた。

上条さんと付き合っていただなんて。

上条さんと野上くんが一緒にいるところはみたことがない。

人目を避けるためか、はたまた計算なのか。


「お局的な彼女にわざと目つけさせて困らせるっていうことを他のやつから聞いたのか。野上、お前が指示してたんだろう。夏穂が上条の悪口でもいったとでも言ったんじゃないのか。それで、困らせてあげたらやめる、なんていって。わざと彼女にタイムカードのことやらせて。自分は何にも手を出さずに」


「知らないですって。上条さんが勝手に言ったんでしょ」


「それに空き倉庫のこともドアノブが壊れて開かないことも知っていたはずだ。なのに有沢をとじ込めて自分がヒーローになったつもりで助けようとしたか」


「でも結果的にセクハラまがいなことをしてたじゃないですか」


「想定外だけど、それを逆手に上に言ったんだろう。オレがお前にとって邪魔な存在だからな」


「妄想がすぎますよ。それにさっきから有沢さんのこと、夏穂だなんて、厚かましい」


「厚かましい? その言葉、そっくりお前にかえしてやるよ」


「それはどうも。僕は有沢さんのことが好きなんですよ。邪魔しないでくれませんか?」


そういってシンちゃんの言葉をはねのけ、野上くんは平然な態度をとっていた。
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