計画的俺様上司の機密事項
「邪魔もの扱いか。さて本物の邪魔ものはどっちかな?」


シンちゃんも受けて立つといった心持ちで応戦しているようにみえた。

それをみた野上くんはバカバカしい、と軽くつぶやいて見下していた。


「みたんですよ。有沢さんのウチに結城部長が入っていくのを。知られたくないですよね。部長になったばかりだし、自分の身の保全っていうのがあります。有沢さんにこれ以上迷惑かけるのはやめたほうがいいんじゃないんですか?」


「夏穂、オレのこと、迷惑か?」


シンちゃんはわたしに目線をあわせてきた。

野上くんにみせる苛立ちをむきだしにした目ではなく、いつも家でみせる安心感を漂わせた目でわたしをみてくれた。


「……迷惑なんかじゃ、ない。わたしにとって必要な人」


「ほら、夏穂もこういってるんだから」


野上くんは愕然としてわたしとシンちゃんを交互にみていた。


「何で……やっぱり有沢さんの好きな人って」


「そう。シンちゃん。結城部長だよ。ずっとずっと好きだった」


シンちゃんはわたしの告白に、よく言ったと弾むように褒め言葉を言ってくれた。


「そうやって今度は結城部長をたぶらかそうとしてるんだな」


たぶらかす、という野上くんの言葉が胸にささる。

野上くんもわたしのこと、そういう目でみていたんだ。

苦しくなって、わたしは野上くんから視線をはずした。
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