計画的俺様上司の機密事項
「たぶらかす? よくそんなことが言えるな。お前こそ、上条をたぶらかしておいて何いってるんだよ」


「ご存知でしょうが、園田元部長と付き合って、今度は結城部長とか。女の武器で迫るぐらいなら僕がしっかり受け止めてあげようって思ったんですよ」


「まだいうか。ちなみにな、上条が野上のこと、宮本に全部話したそうだ。有沢に悪いことしたって。結果、不仲が解消されたそうだよ。ありがとうだってよ。よかったな、愛のキューピットになれて」


「は?」


「付け加えて感謝しなくちゃな。野上。お前のおかげでオレも夏穂もお互い好きだっていう気持ちを確かめあえた。だがな、お前はオレの上司なんだよ。わかってるのか?」


シンちゃんは淡々とした口調で野上くんに語る。

野上くんは顔を歪ませて話を聞いていた。


「たとえ明日オレたちのこと、言いふらしたとしても、もう覚悟はできてる」


「シンちゃん……」


「それぐらいおまえには隙がないんだよ。諦めろ」


「くそっ。絶対見返してやる。結城部長から有沢さんを奪ってやるから」


「はいはい、どうぞ。絶対に奪えませんからねー。はい、残念。お疲れ様でしたー」


野上くんは悔しさを顔いっぱいに出してシンちゃんの前へと進む。

シンちゃんはひらりと体を通路の横へと交わすと野上くんは何もせず資料室から出ていった。


「夏穂、ごめんな。黙ってて」


「いいの。シンちゃんが解決してくれたんだから」


ゆっくりとわたしのところまでやってきて、シンちゃんは目の前でしゃがんで抱きしめてくれた。

シンちゃんの大きな手が背中に回され、シンちゃんの柑橘系の香水を嗅ぐと、わたしもぎゅっと抱きしめ返した。
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