計画的俺様上司の機密事項
シンちゃんと一緒にスーパーで買い物をして、たくさん袋をぶら下げて帰る。


「いつもなら待っていたけど、こうやって一緒に家に入るっていいもんだな」


とうれしそうにシンちゃんはダイニングテーブルに買ってきたものを置いてシンちゃんは食材の整理をはじめた。

ジャケットを脱ぎ、腕まくりをし、ネクタイを緩めている姿にドキドキしてしまう。


「何、固まってんだよ」


とシンちゃんは笑顔をみせながら、くしゃくしゃと頭を撫でてきた。


「なんでもないって」


逃げるように自分の部屋へ向かうと、追いかけるようにシンちゃんも後からやってくる。


「やだなあ、変な想像しちゃって」


「してないってば」


「はいはい、着替えるんでね、覗かないでね、夏穂」


ぷぷぷ、と笑いながらシンちゃんは自分の部屋へと入っていった。

何が覗くよ、いつも勝手に部屋に入ってくるのはシンちゃんのほうでしょ、と言いたいけれど、やめてわたしも部屋着に着替えてダイニングへいく。

すでに長袖シャツにジーンズ、ギャルソンエプロンの家仕様のシンちゃんが手際よく料理をつくっている。


「生クリーム泡立てるぐらいならできるだろ」


と、テーブルに乗っている生クリームと砂糖、泡立て器を指差した。

これぐらいは大丈夫、工具だし、と思ってボウルに生クリームを注いで混ぜ、砂糖を入れながら調子よく混ぜ合わせていた。

手元がすべって慌てて落としそうになったところ、シンちゃんが駆け寄る。


「ああ、大丈夫か」


「だ、大丈夫。床に落とさなくてよかった」


泡立てた生クリームをシンちゃんの大きな指ですくい、ちょこんとわたしの唇につけた。

すると、掬い取るように唇を重ねてきた。


「甘さはこれぐらいでいいか。んー、これじゃあ、料理にならねえな。部屋でのんびりしてろ」


と、ダイニングから追い出され、小さくなりながら自分の部屋へと向かう。
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