計画的俺様上司の機密事項
食事を食べ終え、駅の広場に飾られたイルミネーションを見てから自宅に戻る。

ソファに腰掛けてくつろいでいると、シンちゃんがハーブティーを入れたカップを持ってきてくれて、わたしの隣に座った。

ハーブティーはレモングラスとローズヒップを混ぜたものだった。

体が冷えていたのであたたかな飲み物を飲んだからか、気持ちがなごんだ。


「美味しかったな。外で食べるのもいいな」


「うん」


シンちゃんを見ているだけで期待と不安で気持ちが高ぶっていった。


「どうした。緊張でもしてるのか」


「そ、そんなことないって」


シンちゃんが顔を近づけじろじろと見てくるから、ますます恥ずかしくなって顔をそらした。


「いやならいいんだ。夏穂を傷つかせたくないからな」


そういって香りを楽しむかのようにゆっくりとシンちゃんはハーブティーを飲んでいた。

このままじゃクリスマスが終わってしまう。

今日じゃなきゃ悔いが残る気がした。

「いいの。今夜だって決めてたから」


まっすぐシンちゃんを見つめる。シンちゃんはわたしの気持ちに気づいてくれたのか、首を縦に振った。


「そっか。わかったよ。ゆっくりお風呂に浸かってリラックスしておいで」


頭を軽く撫でられ顔が熱くなる。

顔を見られないようにさっさとお風呂へ入ることにした。

今日のお湯はピンク色だ。

湯気に混じり、ローズの香りが漂う。

気持ちを落ち着かせるためにこの香りを選んでくれたと思うと、シンちゃんの心遣いを痛切に感じた。

ふわふわなバスタオルで体を拭いて、新しい下着を身につけると、緊張もするけれど、気が引き締まる。


パジャマに着替えて廊下に出ると、シンちゃんは黙って髪の毛をタオルで拭いてくれた。


「自分の部屋で待ってな。風呂入ったら呼ぶから」


シンちゃんがお風呂に入るのを見届けてから、わたしは自分の部屋に入った。
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