計画的俺様上司の機密事項
頭からすっぽりと掛け布団をかける。

それなりに自分でシミュレーションしたつもりだけれど、初めてすぎて何をしていいかわからない。

しばらくしてコンコンとドアを叩き、入るぞ、とお風呂あがりのシンちゃんが部屋に入ってきた。

ガバッと頭からかぶっていた掛け布団を取り去った。


「シンちゃん」


「怖気付いたか」


「そ、そうじゃなくて」


あはは、と軽く笑い飛ばし、シンちゃんは寝転がっているわたしを見ながら、そばにある椅子に腰掛けた。


「ったく、寝込みを襲うみたいじゃねえかよ」


「だって、どうしたらいいかわかんなくて」


「で、ここでしていいのか? ムードもへったくれもない部屋でどうこうできねえだろ」


確かにたくさんのコレクションの中で抱かれようとしてもフィギュアと目と目があって異様な状況の中でするというのもどうかと思っちゃうよな。


「……そうだけど」


「こんなごちゃごちゃしてた中で集中できるかよ」


シンちゃんは椅子から立ち上がり、寝っ転がっていたわたしの手をぐいっと引っ張り、ベッドから降りる。

そのまま手を引いたまま、わたしの部屋から出た。

廊下に出るとシンちゃんは自分の部屋のドアを開けて先に中へと入る。

入ってすぐにあるベッドの縁に腰掛け、大きくわたしに向けて両手を広げていた。


「ほら、こっちへおいで、夏穂」


シンちゃんの甘く湿った言葉に吸い込まれるように、シンちゃんへと身を寄せた。
< 244 / 252 >

この作品をシェア

pagetop