計画的俺様上司の機密事項
部屋着に着替えると、ダイニングテーブルには青菜の炒め、エビチリ、酢豚、チャーハン、卵とコーンのスープがのっていた。

あんなにたくさん食べたのに、おいしい匂いに誘われるように、自分の席に座る。


「今日は中華にしてみた」


「わあ、おいしそう。いただきます」


スープはとろみがあっておいしいし、青菜もシャキシャキしていておいしい。

酢豚もしっかりした味付けだけど重くなく、チャーハンもお米がパラパラな本格的なものだった。


「おいしい。シンちゃん、なんでもできるんだね」


「ん、まあね」


わたしの言葉を聞いて、シンちゃんうれしそうに笑ってくれた。

誰もがキュンとしてしまうその笑顔をみて、意地悪を言いたくなった。


「もしかして、今日いった人全員と付き合ったことがあったりして」


「ああ。あったよ」


やっぱりか。おやじシンちゃんだから、やっぱり女性がほっとけないんだ。


「付き合うっていっても、仕事上の付き合いだ。変な意味の付き合いはない」


「あやしい」


ジロリとシンちゃんを見ると、シンちゃんは静かに箸をおいて、じっとまっすぐ見つめてきた。


「妬いてるのか」


「妬いてなんか、ないです」


明らかに女性店員はシンちゃんには好意的な目線だったけど、わたしに対しては高圧的な態度だったし。

そういうのが面倒なのもあって、恋愛するのが嫌になったのかもしれないけれど。


「夏穂に嫉妬されるとはな。オレもまだいけるってことか」


「なにそれっ」


「余計なことはいいから。冷めるだろ。おいしいうちに食えよ」


とシンちゃんはやわらかく諭しながら、チャーハンを食べ始めた。
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