【完】お隣さんは最凶クール悪魔!?
ブレザー越しに耳に当てられた綾世の手が温かくて、私の心を溶かしていった。
それは涙となって、言葉となって、ポロポロと溢れる。
「う…ううっ…。
本当はね、すっごく怖いの…っ。
パパもママも、みんな私の周りからいなくなっちゃうから…っ」
すると、私の頭の上でポンポンと手が動いた。
まるで、泣いてる子供をあやすかのように。
「でも俺は、双葉の両親ともばーちゃんとも違うよ」
「…綾世…」
「俺は隣の部屋にいるから」
「うぅ…っ、うん……っ」
なんでこんなに綾世の手ってあったかいんだろう……。
心が冷たい人って手が温かいって、よく聞く。
でも、それきっと違うね。
だって、綾世の心は冷たくなんかないもん。